改まって言うのも変な話だが

私には大変世話になった友がいる
気を遣うことが多い私にとって気楽に過ごせる彼は貴重な存在
今日は彼に一筆書いておきたい


出会ってすぐの頃、彼は私にとってひとつの目標だった
協調性ゼロで場に打ち解けるのを決定的に苦手としていた私には彼はひとつの憧れだった
今思えば彼も必死だったのかもしれない
それでも私には輝かしい存在だった


そして色々なことを一緒にしたものだ
同じ趣味を持っているからという以上に気が合った
夜遅くまで話合ったことも何度もあった
そして紆余曲折の中で彼と距離が離れた中、私は彼に甘えていた部分頼っていた部分を見つける
それを補い、彼を超えることが私のひとつの目標となった


彼は今曇ってしまう窓をひたすらに拭いているようだ
暖かく乾いていない空気は冷たい空気に触れると拭いても拭いても曇ってしまう
冷たく乾いてしまえば曇ることはなくなるだろう
だがそれこそが彼のいい所なのだ
手前勝手な話だが決して無くして欲しくはない


彼に一つ言葉を送るとしたら
「窓を開けてしまえ」
窓を開ければ曇ることもない
だがもし寒ければまた閉めることはできる
また閉めて曇ってしまったとしても、今度は決して拭くことはしないだろう
曇った窓は曇ったままに
暖かい春に再び窓を自ら開ける日が来る